吹付け岩綿 2 (湿式) クリソタイル含有
施工年 1992年
施工場所 機械室
実体顕微鏡写真

粉砕してしまった試料なので繊維は少ない。石綿を選別することはできない。
偏光顕微鏡写真

直交ニコル+鋭敏板 100倍 岩綿繊維は透明に見え、クリソタイルなどの結晶構造を持つ粒子は浮き上がるように発色する。

直交ニコル+鋭敏色板 400倍 左上-右下の繊維の方向で赤系、逆のとき青系の発色は伸長の正負が正でクリソタイルの特徴。

直交ニコル 400倍 上と同じ繊維。消光角は直消光であることがわかる。また偏光顕微鏡の優れているのはアスベスト様の繊維構造(Asbestiform)が良く見える点。
位相差顕微鏡写真

偏光顕微鏡と同じ繊維を観る。浸液の屈折率1.550 100倍 分散色がほとんど出ていない。また偏光顕微鏡用の試料なので試料の量が位相差顕微鏡での観察には多過ぎるのだが、多くの試料を一度に観察することができることが偏光顕微鏡の利点でもある。

400倍にするとわずかに発色しているのが分かる。
位相差顕微鏡と偏光顕微鏡写真の比較

100倍の観察 左下の粒子の右上部分からクリソタイルの繊維が突き出ている。偏光顕微鏡ではいやがおうでも眼に入る、右上-左下=青である。位相差顕微鏡では発見は容易ではなく、見つけてもクリソタイルかどうかかなり悩む。
エックス線回折分析法
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チャート 赤:粉末資料、青:ギ酸処理試料
コメント
実はこの試料は当東京労働安全衛生センターが分析を始めた早い時期のもので、「クリソタイル含有」と結果を出したものの結果に自信がなかった。湿式吹付け岩綿はマトリクスが多様で分析が難しい。施工時に現場でわずかに含有させたケースもあると聞く。1%以下の含有の可能性もある。エックス線回折分析法では未処理試料はクリソタイルのピークはない。ギ酸処理すると蛇紋石のピークが現れる。位相差顕微鏡では、通達188号のようにギ酸処理した試料を見ると、わずかにクリソタイル様の分散色を示す繊維が観られるが、顕著ではなかった。最終的に電子顕微鏡でクリソタイルを確認した。その試料を偏光顕微鏡を導入して再分析すると、明らかにクリソタイルが観られ、10分間ほどの観察で十分に自信を持って「クリソタイル含有」を確信した。Asbestiformを観られることと、石綿が浮き上がって見えることが偏光顕微鏡の利点といえる。
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